フエルトについて
大昔履物がなかった頃、僧侶が裸足でラクダを引き連れ砂漠を歩いていましたが、 強烈な熱砂の為に歩けなくなりました。
思いあまってラクダの毛をむしりとり足に巻き、熱さをしのぎました。 ようやく日が暮れ、足に巻いていたラクダの毛をほどいた所、足の裏側の毛が平面状に固まっていました。
つまり足裏の汗が水分となり、砂漠の熱さが熱となり、 そして歩く事によりラクダの毛が絡みあって平面状のシート(フエルト)となった訳です。
紀元前の頃より言い伝えられているノアの方舟にまつわる逸話もあります。
ノアは大洪水の予知を感じた為、大きな方舟を作り、床に羊の毛を敷き詰め家族や多くの家財、 食料となる家畜類を乗せました。
しかしながら突然悪天候になり、雨水がどっと入り込み、大勢の人間や家畜類が右往左往し強烈な熱気に襲われました。床に敷いた羊の毛が 熱気と水分と繰り返し踏みつけられた事により、平面状のシート(フエルト)となっていました。
これらの逸話からフエルトとはどんなものかが何となく想像出来るのではないでしょうか。
確かにいかにも真実らしく言い伝えられていますが、多少の疑問点についてはともかく、夢とロマンを感じさせる逸話は楽しいものです。
その他の日本におけるフエルト伝来の歴史としては、 奈良時代に中国から正倉院にフエルト毛氈(もうせん)が献上され初めて紹介されたのが最古の記録となっています。また日露戦争の戦利品の中にもフエルト製の鞍下敷きが入っており重要な戦術物資でもあった様です。
プレスフエルトは下記の工程により製造されます。
新羊毛、ノイル、回収原料を使用します。
原毛に附着した油脂、土砂等を洗い落とします。
回収原料は反毛機にかけ元の繊維の状態に戻します。
要求される製品の品質に応じて原毛を適切な混合率でまぜ合わせます。
原料を紡毛機でほぐし、よく梳いた後、うすいラップにします。
巻取り機で必要な厚さのラップにし、巻き取ります。
ラップを数枚重ねあわせ、蒸気をあて熱い鉄板の間で振動を与え、強く圧縮します。
石鹸液あるいは酸をかけ、縮絨機に入れて加圧し、一定の硬さ、厚さにします。
前工程の汚れ、油等を洗い落とし脱水します。
巾を出しながらよく乾かします。
表面のちり、汚れを取り除きます
毛剪機にかけて表面の毛羽をきれいに刈り取ります。
熱鉄板でプレスし規定の厚さを出して両面をなめらかにします。
厚み、硬度が規格内にあるか、外観上の欠点がないか検査します。
巻き取った上で厳重に梱包され、出荷されます。